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1994-11-16
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2KB
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34 lines
560/571 WST00364 和田 光平 雀百まで踊り忘れぬ(上方)
( 8) 94/05/15 16:27
雀百まで踊り忘れぬ(上方)
幼い時に覚えた習慣は年を取っても忘れない.今日では良い方に解釈しがちですが,
あまり良い意味ではありません.雀が飛び跳ねるように,幾つになっても,あの癖は直
らないねと言う時に使います.
尾張のお菓子屋さんに「雀踊り」というのがあります.一度食べたら百まで忘れられ
ないほど美味しい味かと思ったら,そうではなくて,郷土舞に「雀踊り」というのが
あったのです.網笠をかぶり,竹と雀の絵柄の着物を着て奴の姿で踊るようです.
昔から,踊りや三味線などのお稽古ごとを始めるには,数え歳で六才の六月六日が
良いとされています.ピアノやヴァイオリンも同じでしょうか.スケートなども肉体の
修練が重要なものは,この年齢から始めるのが良いようです.
何事もそうですが,お稽古ごとは,最初に選ぶお師匠さんが大切です.物の本による
と,かつて芸事が盛んだったころのポイントは芸者さんを教えている師匠に限るとの話
でした.お嬢さんたちは所詮趣味ですが,芸者さんは,それで身を立てるプロですから
真剣に教わります.そうした人をコーチする師匠は厳しいけれど本物だと言う分けで
す.確かに,踊りのお師匠さんは,どこかにそうした世界の匂いを感じさせる人が多
かったように思います.
さて,お師匠さんも決まり,お稽古に通い始めると,まず最初に「手ほどき物」を
習います.藤間流では「七つになる子」花柳流なら「菊尽くし」と決まっています.
ピアノで言うバイエルの類ですね.それから「藤娘」「禿」「手習子」「汐汲」
「五郎」「浅妻船」「子守」「三つ面子守」「山姥」などを入門三年間くらいのうちに
習得して行きます.入門が遅いと,大きなお姉さんでも上記のものから入るそうです.
踊りの発表会に行かれたら,こうした踊りの何たるかは一日で知ることが出来ます.
もっともこちらは,大きいお姉さんの踊りを鑑賞したいのですが,出て来るのは大半
が小学生で,少し中学,高校生混じりの光景です.
日本舞踊を習った女性は,歩き方の基本が決まるようです.背筋をピンと伸ばし,
腰を入れて歩くフォームが出来上がるので,大きくなっても役だちます.お辞儀の仕方
なども形が決まっています.幼い時に礼儀作法と共に基本的な身のこなしを習得すると
一生の財産になりますね.
東海支社)和田 光平